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運命の主人公
ある哲人のお話です。

考えてみよう。 怒ったり、悲しんだり、悶えたり、迷ったり、苦しんだりしているときに、気持ちがいいか。 静かに、我が心に「心に憎しみはないか、怒りは、悲しみは、嫉みは、悶えは……」と闘うてみよう。

宇宙には因果律という法則が厳として存在している。 だから、そういう心持ちでいる人は、いつまで経っても本当の安心立命は出来はしない。

美しくしておくべき心の花園に、自分から汚物を振り撒いて歩いているようなことをして、それを、「天命だ。あるいは逃げることのできない、せっぱっまった業だ」などと考えている人があるなら、結局その人は人生を、寸法違いの物指しで測っているのと同じような結果を、作っているようなことになる。

だから、良い運命の主人公として生きていきたかったら、何を措いてもまず、心を積極的にすることに注意深くし、終始自分の心の監督をしていかなければならない。

宿命を統制するにはもう一つ必要なことがある。 それは、常に、心の中に感謝と歓喜との感情を、もたせるよう心がけることである。 何でもいいから、感謝と喜びで人生を考えるよう習慣づけよう。


永遠の夢の迫求
人は、誕生以来ずっと、夢の神秘を読み解こうと努力し続けてきました。

夢の解釈が書かれたのは、紀元前四〇〇〇年にもさかのぼりますが、その前でさえ、原始社会は(彼らは、時には、私たちの文明社会よりはるかに知恵にあふれて賢かったということを忘れてはいけませんが)、実際の現実世界と同じように夢の世界も重要で力に満ち、二つの世界は分かちがたく相互に関係を持ち、同じように意味があると考えていました。

古代ローマでは、夢は神様からのメッセージだと信じられていて、元老院では、意味があると思われる夢の解釈に頼って政治を行っていました。 また、ギリシャでは、しばしば、軍の責任者のアドヴアイザ^ーとして、夢を読み解く人が指名されました。

アフリカでは、治療師やシャーマンが、病気を診断し治すために、そのヒントを夢に求めました。 中国とメキシコでは、夢は、毎晩魂が旅をするまったく別の次元なのだと考えていました。 そこでは、祖先たちが、慰めと知恵を分かちあおうと待っていてくれるのです。


天命と宿命
ある哲人のお話です。 運命には、どうしても逃れられないものと、それから逃れられるものとあるんです。 つまり、身をかわしきれないものとかわし得るものとある。 かわしきれない運命は「天命」という。

絶対的なもので、これは人力ではどうにもしょうがないもの。 女が女に生まれ、男が男に生まれたのも天命。 この現代に生まれたのも天命なら、昔に生まれたのも天命。 また末の世に生まれるのも天命だ。 これはどうともすることはできない。

しかし、絶対に逃れることのできない天命的なものばかりが人生に襲いかかるんじゃない。 多くの人が苦しみ悩む、いわゆる運命は「宿命」なんだ。 宿命というのは、人間の力で打ち拓(ひら)いていくことができるもの、絶対的でない、相対的なものなんだ。

ところが、今の人は、打ち拓くことのできる宿命にぶつかったときでも、それを天命と言う。

自分の努力が足らないことは棚に上げて、どうにも仕様がないと言うのである。 そういう人間が人生に生きるとき、ただ偶然ということのみを頼りにして、その結果、自分じゃ気がつかないが、いつか自分の心が迷信的になって、すぐ神や仏にすがりつこうとするのである。


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